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IDOM中澤氏インタビュー【後編】「心」を動かすコミュニケーションの考え方

投稿日:2019年6月5日 更新日:

企業のマーケティング担当者と現在のマーケティングの取り組み・課題を語りながら、「人の心を動かす」マーケティングについて考える企画。
今回は、株式会社IDOMのデジタルコミュニケーションセクション/リーダーの中澤伸也さんへのインタビュー後編をお届けします。

プロフィール


中澤 伸也  (なかざわ しんや)

株式会社IDOM
デジタルコミュニケーションセクション セクションリーダー

家電量販店ソフマップに入社し現場経験を積んだのち、2000年にECリニューアルプロジェクトに参画し、「日経EC大賞グランプリ」を獲得。2006年にゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、マーケティング部責任者を担当。2013年にエクスぺリアンジャパンに入社、CMOの経験を経て、現在IDOMにてデジタルコミュニケーションセクションのリーダーとしてチームを率いる。

前編はコチラ

 

「人の心」をとらえるコミュニケーションのために

-前回は、デジタルコミュニケーションセクションの役割や、「クルマコネクト」におけるチャット接客のPDCA、KPI設計についてお伺いしました。
今回はもう少しコミュニケーションについて深堀したいと思います。中澤さんは、チャットコミュニケーションにおいて、顔の見えない相手の感情や心の動きを捉えるためには、どんなことが大切だと思いますか?

ユーザーの中にはセグメンテーションがありますが、それぞれのセグメントのお客様にとって「気持ちよく感じるコミュニケーション」は違うと思います。この点は、営業コミュニケーションの中で理解してきたことです。

チャットを例にすると、長い文章を送る人と、短く端的に要件だけを送る人、絵文字を多用する人など、人によってスタイルはさまざまですよね。その違いはなにか考えたときに、性格的なものなのかなと。そして、そこにはある程度、カテゴライズが存在する。理屈っぽい人もいれば、感情優先で動く人もいる。つまり、人にとって「気持ちよく感じるコミュニケーション」はそれぞれ異なります。「クルマコネクト」はアドバイザーが人力で対応するのでその微妙なニュアンスをくみ取りながら対応できます。

 

-ユーザーにとって「気持ちのいいコミュニケーション」という点でなにか事例はございますか?

チャット上のノウハウとは少し話題がずれるかもしれないですが、クルマコネクトには「チャクト」というAIロボットのキャラクターがいます。このキャラクターの動き一つによってもCTRが変わってくることが分かりました。

一般的なチャット画面には、丸いチャットアイコンと吹き出しがありますよね。その状況で単純にチャット誘導する場合と、そこに「チャクト」を別途画面に登場させてコミュニケーションした場合だと、CTRが1.8~2倍にもなり非常に驚きました。

 

クルマコネクトのAIキャラクター「チャクト」

 

さらに、チャクトの動きや表情でも効果が変わってきました。チャクトが登場するときは初めに表情が笑顔の状態から入るとCTRが高いです。以前は、目がピカピカッと光るロボットらしい動きから始めていたのですが、やはり第一印象が重要で、ロボットでもポジティブで親しみやすさを感じる表情や動きのほうが好まれるようです。例えば、店舗でもスタッフに笑顔で迎えてもらえたら心地が良いのと同じですね。

 

ーキャラクターによる親しみやすさで「気持ちの良い状態で情報が伝わった」のですね。実際のコミュニケーションだけでなく、細かいクリエイティブ表現に近いところでも「気持ちよく感じるポイント」を探すために細かくテストしているのが印象的です。

コミュニケーションを広義の意味でとらえると、その中にはクリエイティブも入ってきます。

バナーやLPなどでも、正しいものを正しく伝えるといったとき重要なことは「伝え方」です。そして「伝え方」を「どう表現・デザインするのが一番正しいか」を突き詰めたとき、その答えはお客様によって「気持ちのいい状態でその情報が入ってくること」ではないかと思います。

なので「気持ちのいい状態をクリエイティブによって作り出す」という考え方はプロモーションにおいても重視していますし、それはチャクトのような一見コミュニケーション上あまり関係ないようなキャラクタークリエイティブでも同じです。実際にテストすると意外なことがわかって面白いですね。

 

バリューを考えるマーケティングへシフトしていく

-今後、IDOMのマーケティングに必要なものはなんでしょうか。

 

これから世の中全体でのマーケティングにおいて、おそらくプロモーション要素は重要性の比重が落ちていくと思っています。冒頭でもお伝えしましたが、それよりもサービスマーケティングのようなユーザーにバリューそのものをつくる、という広義のマーケティングが重要になってくると思います。

もともとマーケティングは、4Pで構成されるものです。その中の一番コアなものが「プロダクト」です。そのプロダクトは、マーケティングの観点から生み出さなければならない。それを伝えるための手段としてひとつ「プロモーション」がある。

しかし、いま「マーケティング」という言葉を聞いたときに「プロモーション・マーケティング」というところだけが切り取られて「マーケティング」と呼ばれているように思います。

重要なのはユーザーのインサイトを考え、どのようなバリュープロポジションを構築するのかということと、このバリュープロポジションを安定的に恒常的に提供するためのプロセスです。

インサイト、バリュープロポジション、それを提供するバリュープロセスという「IVV」を考える、もしくは作っていくというのがマーケターの役割に間違いなく変わっていくと認識しています。

 

-単純なプロモーションだけでなく、バリューを考えるマーケティングへシフトするということですね。

そうですね。クルマコネクトの基盤にも、このIVVがあります。お客様のインサイトはとてもシンプルで「いますぐクルマの金額が知りたい」と思ったとき、電話をかける、店舗に出向くよりも「Webでもっと気軽に知りたい」というユーザーの心理があるということを裏付けデータを元に見出しました。

そして、お客様の要望に、よりクイックに答えるためにAIを使ったレコメンド機能を用いる一方で、サービスマーケティングとして、よりふくよかなコミュニケーションを担保するため、チャットアドバイザーがいます。
「AI機能」と「当社ならではのサービス」という両輪をきちんと世界観として展開していくというところが、クルマコネクトの特徴であり、バリューです。

このように、僕が率いているマーケティングチームはIVVを構築していく部隊に役割が変わってきています。そこではIVV一連のプランニング、ディレクションを考えられ、実行する力が必要になります。なので、マーケティングの次のフェーズ、つまり新しい価値の創造に挑み続けていくために仲間をどんどん増やし、やれる領域を増やしていきたいですね。

 

 

1994年に創業し、現在中古車店「ガリバー」を全国550店舗運営。中古車買取台数、販売台数ともにNo.1(※)のリーディングカンパニー。
「ガリバー」だけでなく、チャットで気軽にクルマ相談が行える「クルマコネクト」や月額定額乗り換え放題サービス「NOREL(ノレル)」、個人間カーシェアサービス「GO2GO(ゴーツーゴー)」など、時流に合わせた、クルマがあるさまざまな暮らしを提案し、新たな価値の創造に挑み続けている。

●HP:https://221616.com/idom/
●クルマコネクト:https://221616.com/connect/
●採用情報:https://221616.com/idom/recruit/

※1 2018年9月、(株)日本能率協会総合研究所調べ(国内中古車買取市場の大手買取専門業者を対象とした「中古自動車買取台数No.1調査」より)
※2 2018年9月、(株)日本能率協会総合研究所調べ(国内中古自動車販売業の主要小売企業を対象とした「中古自動車販売台数No.1調査」より)

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宮田 あゆみ(株式会社インフォデックス)

beehave編集部
2017年 株式会社インフォデックス入社。
beehaveの編集部として企画・ライティング・ディレクション・SNS運用を担当。

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