消費者心理 編集部コラム

セミナーレポート|マーケターが知っておくべき生活者の「ニーズ」の考え方とは?

投稿日:2019年11月5日 更新日:

マーケティングにおいて「顧客ニーズ」「消費者視点」が大事というのは定石ですよね。
しかし、あなたはその意味を本当に理解できていますか?

分かった「つもり」が一番怖い、ということで
今回当メディア「beehave」を運営する(株)インフォデックスのデジタルマーケティングdiv.では「マーケティングと顧客ニーズ」をテーマにした社内向けセミナーを開催しました。

その模様をレポート形式でお届けします!

【セミナー概要】

●講師
四元正弘(元電通総研・四元マーケティングデザイン研究室代表)

●参加者
株式会社インフォデックス
デジタルマーケティングdiv.
アカウントプランナー・クリエイティブディレクター・デザイナー・コーダーなど

●内容

1、マーケティングの基礎に立ち返る

2、顧客は何を求めているか?ニーズへの迫り方

3、顧客はだれか?~顧客設定の理想形とは?~

 

1、マーケティングの基礎に立ち返る

セミナーはまず顧客理解がマーケティングにおいて重要な理由を知るために「マーケティングの基礎」を知ることからスタート。
以下、内容を簡単な要約してお伝えします。

 

マーケティングとは?

経営の神様ドラッガー曰く
マーケティングの理想は、販売行為を不要にすること

つまり、マーケティングとは

× 売れない商品をどう売るか
売れ(続け)る商品・仕組みをどう作る(仕込む) かである。

言い換えると…

=頑張って販売しなくていい
=生活者が自然と寄ってくる状況を作る
生活者の心理を買わずにいられない状態に仕向けておく こと。

そのためには「顧客はだれか?顧客は何を求めているのか?」この2つが最も重要な問いとなる。

まとめるとマーケティングとは「商品が売れる仕組みをつくること=生活者の心理を買わずにいられない状態に仕向けておく」こと。
そのためには「顧客はだれか?顧客は何を求めているのか?」から考えることが最も基本的な考え方である、ということでした。

 

2、顧客は何を求めているのか?~ニーズへの迫り方~

では、一体どうやって「顧客はだれか?顧客は何を求めているのか?」を知ることができるのでしょうか。
まずは「顧客は何を求めているのか?」を知るための顧客ニーズの考え方を教えてもらいました。

 

顧客ニーズとは?

近代マーケティングの父、フィリップ・コトラー曰く、

「ニーズとは、『何らかの商品を使って/行為をして、顧客が自分にとって今は無いが必要なモノ・コトを得たい』と思うこと」。

例>「ドリルを売るには穴を売れ」
ドリルの刃を販売する店やメーカーは、顧客は「ドリルの刃に対してニーズを持っている」と思うかもしれない。
しかし、顧客がドリルの刃を買うのは、ドリルの刃が欲しいからではない。
本当は「壁の穴が欲しい」ので「ドリルの刃を購入する」のである。

つまり顧客のニーズは、「『壁の穴』という生活に必要なモノ・コトの欠乏」にある。

しかし、ここで顧客理解にはもっと重要な事実が残されている。
それは「好んで壁に穴を開けたい人はいない」ということ。

人は普通壁を傷つけたくない。それにもかかわらず「なぜ壁に穴をあけたいのか」この疑問の深堀こそがニーズの本質である。このような深いニーズを「インサイト」という。

ドリルの刃が欲しい人のインサイトは以下

・・・ドリルの刃が欲しい人は、壁の穴をあけたかった。その理由は、「子供部屋に本棚がほしい」から壁の穴にあけたかったのかもしれない。さらに「なぜ子供部屋に本棚がほしいのか」を深堀すると「子供にたくさん本を読んでほしいから」というインサイトがあることが想像できる。そして「なぜ子供にたくさん本を読んでほしいのか」を深堀すると「本を読むことで知識や好奇心を蓄えて、将来健全に成長してほしい」というインサイトが浮かび上がってくる。

 

ーインサイトについてー

• 消費者インサイト(Consumer Insight)とは、簡単に言うとニーズの深層又は深いニーズ。ニーズとインサイトの間に明確な一線はなく掘り下げるほど近づく
• インサイト/深いニーズを探るとは、行動の奥底にある、ときには本人も意識していない潜在ニーズ(本音)を見抜くこと
• 消費者の潜在ニーズ゙(本音)は、インサイト・ニーズ深層に潜んでいるもの

 

企業はいつも「何を売りたいか」を考えるが、生活者にとって買い物はお金の損失である。

本来、生活者は極力物は買いたくないと思っている。

では、なぜ買い物をするのか。それはドリルの刃と壁の穴の例からも分かるように生活者は「買う事で手に入る価値・体験を買いたい」から。

つまり、「顧客が求めているものは何か?」という問いの答えは「モノ」ではなく「価値・体験」である。

「われわれ(企業)が何を売りたいか」ではなく,「顧客は何(どんな価値・体験)を買いたいか」を考えること。
これが顧客の視点でマーケティングを行うということである。

 

 

3、顧客はだれか?~顧客設定の理想形とは?~

次のテーマは「顧客はだれか?」です。

四元さんに今回教えていただいたののは、顧客設定を「強み・顧客・ニーズの三位一体」で考えていくという方法。

それぞれの意味は以下の通り。

 

1、強み

そもそも事業として商品を作り、販売する理由

2、顧客
「強み」を分かってくれる顧客は誰なのか?

3、ニーズ
その「顧客」は本当は何を求めているのか?
さらに商品の「強み」で満たせるものか?

 

これらを今回は「サントリー プレミアムモルツ」を例にワークショップ形式で実際に参加者全員で考えました。

 

ワークショップ

サントリーのプレミアムモルツの広告はいくつもの歴史がありますが、その中に「最高の週末」というコピーがあります。
2005年そのコピーを使ったCMが放映されてから売上もあがっていきました。

ワークショップではこのプレミアムモルツをお題になぜ「最高の週末」というコピーになったのか、なぜ「最高の週末」というコピーが顧客に響いて売上につながったかのか考察をしながら、顧客設定を考えていきます。

参加者は4人チームに分かれポストイットに「強み・顧客・ニーズ」を書いて模造紙に貼っていきます。

 

まず考えるのは「強み」です。
今回のワークショップでは、お題としてすでに商材が決まっているので四元さんからあらかじめ以下の情報が提示されました。

プレミアムモルツの強み=「世界的権威が認めた美味しさ・高品質なプレミアムビール」「ビールのプロが作った、違いの判る人のための一流のビール」

 

次は「顧客」です。
これについては、各チームの回答はほとんど共通して「仕事に奮闘するサラリーマン」という感じ。
30~40代の男性、マンションで一人暮らし、土日休み、仕事の目標に向かって頑張りたい、だけどなかなか仕事を認めてもらえない、頑張っていることを上司や家族に褒めてほしい、という悩み・課題がある、といったところ。

 

最後に「ニーズ」です。
ここでも各チームから出て意見は共通していて「上司や家族に褒められたい」「仕事で成功したい」「疲れを吹き飛ばしたい」といったものでした。

 

しかし、ここで四元先生から
プレミアムなビールを飲むと上司に褒められ、仕事で成功するの?
疲れを吹き飛ばすならもっと安いお酒をたくさん飲んだ方がよくない?
という鋭いツッコミが…。

たしかに今回の目的は、プレミアムモルツという最高品質のビールに顧客が「何を求めているか」、一流のビールを飲むことで顧客の「どんなニーズを満たせるのか」を考えることです。

そしてなぜ「最高の週末」は顧客に響いたのか理由をみつけなければなりません。とはいえ、普段ここまえ深くニーズを考える癖がついていない参加者たちは苦戦…。全員で答え合わせをすることになりました。

回答として四元先生が考えたサントリープレミアムモルツの「強み・顧客・ニーズ」はこちら。

 

●強み
世界的権威が認めた美味しさ、高品質なプレミアムビール
ビールのプロが作った、違いの判る人のための一流のビール

●顧客
自分に自信があって、一流を目指して頑張っている人
自分の頑張りを、もっと認めてほしい。褒めてほしい・・・

●ニーズ
頑張りは自分が一番知っている。素直に自分を褒めよう。
一流を目指して頑張る自分に一流のビールで乾杯したい。お疲れ様自分。
今週もよくやった!また来週、頑張ろう!

 

ワークショップで出てきた答えと最も異なっていたのはやはり「ニーズ」の部分でした。

四元先生曰く、
『仕事に成功したい』はニーズではなく、単に『仕事がうまくいかない』の裏返しの願望にすぎない。『仕事に成功するためには、本当に今必要なものは何か』が真のニーズといえる」ということでした。

ニーズの深堀の癖がないと、広告コピーを考えるときに「サラリーマンは仕事で成功したい」と思っているから「仕事を応援するようなコピーを書けばいい」いう浅い理解で終わってしまいがちです。

しかしそれでは真のニーズ=インサイトを捉えたとは言えません。

「仕事で成功したい」と思っている→現状はまだまだ→それでもよく頑張っている自分を認めてあげたい→高品質のビールならそんな自分へのご褒美になるな、といった顧客のインサイトをここまで深堀したからこそ「最高の週末」というコピーが生まれ、顧客に響いたということですね。

 

まとめ

・マーケティングとは「商品が売れる仕組みをつくること=生活者の心理を買わずにいられない状態に仕向けておく」こと。
そのためには「顧客はだれか?顧客は何を求めているのか?」から考えることが最も基本的な考え方である。

・「企業が何を売りたいか」ではなく「顧客は何(どんな価値・体験)を買いたいか」を考えること。これが顧客の視点でマーケティング(特にブランディング戦略)を行うということ。

・顧客が求めているものは何か?という問いの答えは「モノ」ではなく「価値・体験」である

・顧客はだれか?を考えるときには、「強み・顧客・ニーズの三位一体」のフレームを使うとよい。

 

いかがでしたでしょうか。
今回のセミナーの一部を紹介しました。
「顧客を理解する」ことに課題をもっている企業のマーケティング担当者、クライアントの顧客理解を深め、刺さるクリエイティブを作りたい広告関係者のみなさんのお役立てれば幸いです。

 

インフォデックスについて

今回セミナーを実施したbeehaveを運営する(株)インフォデックスのデジタルマーケティングdiv.では、デジタル広告をはじめとしたクリエイティブの企画立案~制作進行~レポーティングまでをワンストップで行っています。

私たちの仕事は顧客を知ることからはじまります。顧客が抱える課題の中にこそ、消費者のココロを動かすヒントが隠れているからです。これらを紐解いた先にある戦略的デザインこそ私たちが目指すソリューションです。

そのために今回は初心に戻ってマーケティングのこと、生活者のことを、プランナーだけでなくデザイナーも含めチーム全体で考える機会をつくりました。

今後も生活者の抱えるニーズと商品とが出会う瞬間をつくるクリエイティブを提案すべく邁進してまいります。

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