企業インタビュー

自走力のあるチームで事業と共にクリエイティブも進化を続けていくーSansan株式会社

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 企業のインハウスデザイナーの日々の取り組みや、思想をうかがいみる取材企画。
今回は、Sansan株式会社 マーケティング部 クリエイティブグループ担当者へ、インハウス クリエイティブの軌跡や意識、あえてデザインガイドラインを設けない想いなど、Sansan流クリエイティブチームのあり方についてお話しいただきました。

◆プロフィール

Sansan株式会社
「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションに、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」や個人向け名刺アプリ「Eight」を提供し、名刺データとテクノロジーと掛け合わせ、ビジネスの出会いをあらゆるイノベーションの誕生につなげるための取り組みを行っている。

コーポレートサイト:Sansan株式会社

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◆インタビュイー
Sansan事業部 マーケティング部 兼ブランドコミュニケーション部 デザイナー 三坂 徳男様
マーケティング部 クリエイティブグループ グループアシスタントマネージャー

 

クリエイティブグループの役割をお聞かせください

Sansanプロダクトのセールスプロモーションに関するクリエイティブ制作全般を行っています。
具体的にはWEB周りやオフラインを含めた、ユーザーのタッチポイントにおける全てのクリエイティブの制作を行っています。

・WEB周り…LP・プロダクトサイト・ダウンロード資料、動画など。
・オフライン…展示会のブースやノベルティグッズ、パンフレットなど、企業ミッションに関連するSansan主催の各種イベントのクリエイティブなど。

チームは、デザイナーや動画ディレクター、フロントエンドエンジニアが所属していて、協力会社様の力を借りつつ、基本的にはインハウスで手がけています。

 

クリエイティブ制作においてどんなことを心がけていますか?

全てのクリエイティブは、ユーザーとの最初のタッチポイントになります。その時に、「このサービスいいな」とか、「この会社のクリエイティブっていいな」というポジティブな印象が残るように心がけています。

Sansanは当時の企業規模かつ、BtoBサービスとしては珍しいテレビCMを2013年からスタートさせ、ブランディングに力を入れ始めていましたが、わたしが入社した2015年頃のマーケティング部では、「まずは数字へのコミットが第一」という傾向が強くありました。

しかし、CMを通してサービスの認知度が高まっていくにつれ、数字を最大化するためには、クリエイティブの要素も非常に重要で、ブランディングも数字と同じくらい力を入れ、「クリエイティブの力」を重視する空気が社内に生まれていきました。

 

※Sansan株式会社のCMギャラリーはコチラ

 

そして現在は、数字と見た目のバランスを追及したクリエイティブ制作をしていくフェーズにはいってると思っています。

マーケティング部におけるクリエイティブは、Sansanプロダクトの普及と密接につながっています。クリエイティブとして、「なんかキレイ、カッコいい」のみではだめで、あくまでリード獲得や、売り上げの後押しに資するものでなければダメなんです。

サービスに興味を持ってもらうためには、キレイさやカッコよさより、分かりやすさの方が優先度が高い場合もある

高速で大量の数を回す施策も正解だと思いますが、本質的に、「そもそも何がしたかったんだっけ」という問いかけを常に行って、個性は損なわずに意味のある数値につなげるクリエイティブを制作する。

それを今まで以上に意識して取り組んでいこうと思っています。

 

Sansanのブランディングにクリエイティブの影響は大きいと思いますが、どのように作り上げていったのでしょうか?

完全に手探りでした。

わたしの個人的な感想ですが、会社全体が「こう行くぞ!」となった時、それに向かって一直線に走る潔さをクリエイティブからも感じていました。

必要以上にデザインの印象を残そうとしたり、カッコ良く見せようとしたりすると、つい色々装飾したくなって蛇足になっちゃうんですよね。あるあるだと思いますが(笑)。

そうではなく、まず訴求したいことを整理して表現をしたら、それ以外は邪魔にならないように何もしない潔さ

いろいろ試してみた結果、どんどんそぎ落としていってシンプルに!というキーワードが自然と出てきて、今のクリエイティブにつながっていきました。

Sansanは2020年1月現在、名刺管理市場の8割以上のシェアを獲得しているとはいえ、まだまだ伸び代があって勢いを殺してはいけないフェーズです。

なので、クリエイティブの追及にも終わりがないんですよね。
進化を続けるためにも、あえてデザインガイドラインは作っていないんです。方向性を示すワーディングなどはありますが…。

 

ガイドラインが無いとSansanの世界観の共有は難しくないのでしょうか?

難しいと思う方もいるかもしれません。
簡易的なデザインの指針や、ロゴのガイドラインはありますが、ほかの企業が作っている様な、PDF数十枚にわたるガイドラインは無いです。

ガッチリと作ってしまうと、「何番と何番のカラーを使って、マージンはこれぐらいで決まり通りに制作すればOK!」というように、デザイナー自身が思考停止してオペレーション業務になってしまう可能性があります

特にマーケティングにおいては、クリエイティブのフィルターを通す事で、より訴求力が増し、お客さまに届くものになっていると思っています。

そのため、ルール通りやキレイなだけではダメだと。
あくまでSansanのプロダクトを世の中に広めることが目的なので、その追及のためのクリエイティブ制作を一番に考え、最適化と進化を続けることが大切だと感じています。

 

ちなみに…デザイナーの採用時のポイントや求めている事をお聞かせいただけますか?

これどこまで言っていいんでしょうか(笑)。
「冷静さと柔軟性はあるか」は結構見ています。

状況に合わせて流動的に施策を動かしていくわけですが、前回は「正」でも、今回は違う…みたいなこともあります。(逆もしかり)

目的が「楽しさやかっこ良さを表現したいもの」であれば良いですが、そうではない場合、「これってそもそも何を訴求するんだっけ?」と冷静に要件整理を行えるかどうかが重要です。

本質を見極めようとする視点を忘れてしまうと、表現すべきことからズレたクリエイティブになってしまいます。

Sansanのデザイナーは、媒体は問わず、走っている施策のクリエイティブに携わっていきますが、入社直後から守備範囲広く活躍されている方は「紙のグラフィックデザインを経験している人」が多いですね。

紙媒体は、用紙サイズが決められた中で表現しなくてはいけないケースがほとんどなので、そこで培った優先順位の整理力や情報設計能力が活かしやすい傾向があるのだと思っています。

なので、特に「紙媒体の経験があるデザイナー」は歓迎しています(笑)。

 

なるほど。他にはSansanに合うデザイナーのポイントはありますか?

当たり前ではありますが、ポートフォリオは構成をしっかりみています(笑)

ポイントとしては、どのクリエイティブをどのようなバランスで掲載しているか。
キャッチコピーと写真などのキービジュアルで構成された広告ポスター類から、文字情報が多いもの、例えば居酒屋のメニューとかスーパーのチラシ、パンフレットや冊子など、作業負荷の大きい経験があるのか…などです。

文字情報が多いものは、入稿期日までのスケジューリング意識が高くないと務まらないので、経験しているかは結構重要視しています。
地味ですが、実に繊細なんですよね。下版したら修正できないので、一文字も間違いがゆるされない結構しんどい作業です。

ドライブ力のあるデザイナーは常にスケジュールを意識しているので、案件を動かすスピードが速いです
困ったら自ら聞きに行くし、遅れているものがあれば関係者を自ら動かしにいく。
その点でも、紙媒体での経験は強いです。締め切りまでにやりきるコミット力は、推進する力にもつながります。

インハウスデザイナーだからといって、依頼を待つだけでは社内受託になってしまいます
デザイナー自らが、コミュニケーションを取ってディレクションも意識しながら進めて行く意識は大切です。

ワイヤーと構成だけみて綺麗に仕上げるのではなく、ディレクターの意図を読み取って、解らなかったら聞いて自らの思いも伝えていけば、ディレクター側にもインプットされ相乗効果につながるはずなので。

制作チームだからデスクに座っているだけじゃなく、被る領域に自ら足を踏み出すような動きをする事は、事業へのコミットにも通ずると思うので、そこは古株メンバーが率先して意識的に行う様にしています。自ら動かないと周りへも伝わらないですからね。

 

Sansanの事業に対して、マーケティング部のクリエイティブの力はどの様に生きていると思いますか?

オンライン、オフライン共に大きな役割を果たしています

オフラインでいえば展示会のブースですね。デジタル化が進んでいる中、わざわざ会場に足を運ぶ方が多い事に驚いたんですよ。

年数回の展示会で、Sansanのブースへ足を運んでいただいた方には、「なんかここのブースイイな!」と思ってもらって、ファンになってもらいたいと思っています。直近でクリエイティブチームがディレクションしてリニューアルしたブースはとても好評でした。

写真(左): メインブース。近未来感を演出しつつ、距離感が出ないように手触り感をだした。/写真(右):役職、経営者層向け専用ブース。ラグジュアリー感をだしつつBOLDな存在を出して信頼感を表現。

来場者はサービスへの期待度もあがるし、ブースで働く社員はテンションが上がるじゃないですか。
そういったクリエイティブはお客様だけでなく、スタッフのモチベーションにもつながると思っています。

あと、juice(ジュース)の存在はSansan全体への影響力は大きいのではないでしょうか。

juiceはSansan株式会社に所属するクリエイターが、事業部を超えた交流を持つために発足しました。

活動を始めた頃は、オリジナルの封筒くらいしかなかったんですよね。「こんなノベルティがあったらいいな」といったアイディアはあったものの、当時はリソースもなかったので、どうしても通常業務を優先するとなかなか取りかかることができませんでした。

現在はjuiceの活動時間を週3時間ほど取得することが会社で認められているので、部署関係なく賛同したメンバーが集まってクリエイティブプロジェクトを立ち上げるなどの活動を行なっています。

例えば、お客様にお出しする水がなんで既製品なんだ?という疑問からスタートして、Sansanオリジナルの水を作ったりといったことをしていますね。

juiceの発足から、従来は無かった横断的なコミュニケーションが生まれ、同じミッションを追う仲間として、情報共有や協力体制も生まれました。今後もアイデアを出し合いながら活動を続けていきたいですね。

 

 

今後のクリエイティブチームの展望をお聞かせください

横の連携は持ちつつ、今以上に各自が自走していく組織にしたいと思っています。

ひとりひとりがもっと力をつけて、周りを巻き込めるようなドライブ力を上げていく。それぞれの強みを生かしたアウトプットをしていくことが事業貢献にもつながっていくと感じていています。

リードを獲得するためだけのクリエイティブだったら、外注でも事が足りるので、インハウスデザイナーは必ずしも必要ではない。

数字を取れるということは大前提ですが、その上でインハウスの強みは、会社が掲げるミッションに共感した上で、それをクリエイティブに反映できること
ミッションへの深い理解、共感があるからこそ可能なのです。

これは会社の規模が大きくなっても、いつまでもそうでありたい。
変わらず自分たちの手で作り続けていきたいと思っています。

 

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株式会社インフォデックス Digital Marketing div. beehave編集部。
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