あなたは、自社で扱っている商品を、どんな人たちに知ってもらいたいですか?
あなたが提供する商品の強みと想定しているターゲット像がマッチしていないと、いくら発信しても効果は上がりません。自社の強みとターゲット像のニーズをつなぐのは、共通の価値観なのです。そこで今回は、人が持つ価値観に着目してみましょう。
人の行動の源にある価値観を知れば、自社と相性のよいターゲット像が見えてきます。
ユーザーニーズを知るライフスタイル・セグメンテーション
人は誰でも自分なりの価値観を持っています。価値観に沿って欲求が生まれ、新しい情報を求めたり、流行のアイテムを購入したりするものです。そんな行動パターンの背後にある価値観に着目して、マーケットをタイプ分類した方法を「ライフスタイル・セグメンテーション」と呼んでいます。
「ライフスタイル・セグメンテーション」として心理学的理論と社会学的理論に従って消費者を類型化し、アメリカの消費者の価値観とライフスタイルを9タイプに分類したものをVALS(Value and Lifestyle)といいます。
米国のスタンフォード研究所がマズローの欲求階層理論を参考に開発しました。その分析基準を日本人向けに修正したものがJapan-VALS。まずは、Japan-VALSが発表している10タイプのライフスタイルをご覧ください。「革新想像派」や「つましい生活派」などの名前が付けられて分類されています。それぞれの価値観に注目してみてください。
ユーザーが目指すライフスタイルとは?
人は、自分が価値を感じる方向と、同じ価値を持ったものに惹かれ、欲しいと思うものです。それを手に入れた時に、自分が「なりたい姿になれた」、「ありたい自分に近づけた」と思うからでしょう。
そのような志向性や、モチベーションの方向を、Japan VALSでは3種類にグループ分けしています。前述の10タイプが、それぞれどのグループにあてはまるか見てみましょう。
赤色の「自己顕示派」と「自己派アダプタ」、「革新創造派」が好むのは、「自由な自己表現」。ワクワク・楽しい・新しい、という感情がキーとなり、楽しく刺激的なライフスタイルを目指しています。
青色の「社会達成派」と「社会派アダプタ」、「革新創造派」のグループが好むのは、「向上し、達成する自分」。社会や文化に関心が強く、より高い知性やステイタスを目指して行動しています(革新創造派は、赤と青の両グループの中間に位置しています)。
黄色の「伝統尊重派」と「伝統派アダプタ」のグループが好むのは、「良き伝統を守る生き方」。伝統を守ることに意欲を感じ、古き良きスタイルを継承し、その精神を表現しています。
残りの「同調派」「雷同派」、「つつましい生活派」は、上記のどの方向にもあてはまらない価値観が不明瞭なタイプです。日本人の約半分を構成しています。
タイプに合った見せ方を洗練させれば、反応が変わる!
あなたの会社の商品やサービスが提供するライフスタイルは、どの方向でしょうか。Webサイトでは、ユーザーに最も提案したい強みや価値観を洗練させ、コピーやビジュアルに落とし込んでいくことが大切です。
例えば、グルメ系サイトの場合、赤色のグループ向けなら、見た目の楽しさや今までにない新しい味をアピールする。青色のグループ向けなら、上質の食材や一流シェフなどステイタスを訴える。そして黄色のグループ向けなら、昔ながらの伝統の味や秘伝のタレなどを安心感とともに見せる、といった方法が考えられるでしょう。
アピールポイントを固定し、一貫性ある表現を繰り返そう
あらゆる人を狙った商品やサービスは、誰からも必要とされず、誰にも覚えてもらえない。これがターゲティングの原則です。Webサイトでは、自社と同じ価値観の人や、共感しあえる人に伝わればいい、と考えましょう。
すべての人に気に入ってもらおうとするほど失敗します。アピールポイントを絞り、ターゲットとする人たちに一貫したメッセージを伝え続けるほど、良い結果につながるでしょう。
参考: JAPAN VALS